七星先生の日記

国内鉄道旅行を主なテーマにしていろいろと書いていきます。

魅惑の夜行列車の旅、サンライズ出雲・瀬戸

夜行列車が相次いで廃止され、ななつ星トワイライトエクスプレス瑞風、トランスイート四季島のようなクルーズ列車やカシオペアのような臨時列車を除いた定期列車としては唯一となってしまったサンライズ出雲・瀬戸号。

しかし、その利便性や快適性、行先の観光地としての魅力などから今も人気列車の一つとして存在感を放っています。

実際に乗って素敵な思い出を作られた方も、一度は乗ってみたいという方も結構いらっしゃるかと思います。

今回は筆者の実体験も交えてサンライズ出雲・瀬戸号の紹介、いいところ、旅行する上での注意点などについて書いていきたいと思います。

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 サンライズ出雲・瀬戸号とは?

 

 

すでに多くのサイトで紹介されていると思うので簡単に。。サンライズ出雲号は東京駅と島根県出雲市駅との間を途中、松江や米子を経由しながら走り、サンライズ瀬戸号は東京駅と香川県高松駅との間を走ります。

7両編成の二つの列車ですが、東京駅から岡山駅の間は連結して14両編成で走ります。

時刻

 

(高松・出雲市方面)

東京発 22:00 → 岡山着 6:27 高松着 7:27 出雲市着 9:58

(東京方面)

出雲市発 18:51 高松発 21:26 岡山発 22:34 → 東京着 7:08

飛行機の最終便よりも遅く出発し、始発便よりも早く到着するというコンセプトに基づく時刻設定だそうです。(出雲市は、離着陸時刻で見るとこの限りではないですが、市街地や観光地へのアクセスの利便性の観点ではやはり列車に軍配が上がります。)

料金

 

東京~岡山

14,240円~27,450円

東京~高松

15,070円~28,280円

東京~出雲市

15,750円~28,960円

設備によって料金が異なります。フェリーの雑魚寝のようなノビノビ座席が最も安く、洗面台付きのA個室寝台のシングルデラックスが最も高いです。洗面台なしの通常のB個室寝台シングルはだいたい上記の中間値です。

ノビノビ座席では新幹線よりも安く、B個室寝台は新幹線と宿泊の総額よりも安価、A個室寝台はそれよりも割高という価格です。

高速バスやLCCにはかなわないものの利用しやすい価格設定といえます。 

このように、利便性も高く利用しやすい料金であることが人気の要因であると考えられます。

なぜこの区間で生き残ったのか?

 

ところで、数々の夜行列車が廃止されていく中で、なぜ政令指定都市ではない出雲市高松市が行先となる列車が生き残ったのか、少々マニアックですが見ていきたいと思います。とにかく実際に乗るときのことを知りたいということであれば飛ばして次の項目に行っていただければと思います。。。

夜行列車の強みを一番発揮できる距離

 

サンライズ出雲・瀬戸号の走行距離は約800~900kmです。この距離だと上記の通り、飛行機の最終便よりも遅く出発し、始発便よりも早く到着するという時刻設定が実現可能になります。

例えば、これが東京博多間や東京札幌間のように1000kmを超えてきてしまうとそれが実現できなくなってしまいます。東京博多間はどちらも空港の位置が便利ですし、東京札幌間では列車だと時間がかかりすぎてしまいます。(札幌まではそれまでカシオペア北斗星が移動そのものを楽しむ列車として残っていましたが北海道新幹線の開通によって廃止されてしまいました。)

一方、東京大阪間や東京名古屋間、東京仙台間といった300~500kmの距離でも上記の時刻設定は可能ですが、今度は高速バスが相手となり、このくらいの距離であれば快適性に対する要求水準も低くなるため価格面で太刀打ちできない距離となってしまいます。

新幹線との競合を回避できる区間

 

東京岡山間は新幹線と並行していますが出雲、高松ともに新幹線は通っていません。また並行する、東海道・山陽新幹線は古くからあるため並行する在来線はJRのままです。

それに対して東京金沢間や東京青森間は北陸新幹線東北新幹線と完全に並行する上、新幹線が比較的新しく開通した地域では需要が少ないため民間企業であるJRのみで在来線を維持することは困難であるという観点から第三セクターに移管され、その区間の在来線の運賃はJRの収入にはならなくなりました。

そのため、民間企業であるJRがわざわざ新幹線と並行して夜行列車を走らせる理由に乏しく、いくつかの列車はそれが主な理由で廃止されてしまいました。

 

そのほかにも、車両の都合や電化方式の観点など様々な要因がありますが、実際に旅行をしたい方には関係ない話になってしまうのでこのくらいにしておきます。いずれにしてもいくつかの要因が重なって、この区間で夜行列車の旅を楽しむことができているということになります。

サンライズ出雲・瀬戸の魅力

 

さて、いろいろと書いてしまいましたが、実際に乗ってみて感じたサンライズ出雲・瀬戸の魅力についてみていきたいと思います。

なんといっても利便性

 

 夜遅くに出発し、朝早くに目的地にたどり着ける利便性は大きいです。出雲市にたどり着いたらそのまま一日観光できますし、高松に着いたら朝ごはんに讃岐うどんを食べそこから観光ということもできます。出雲市着は少し遅いもののビジネスに利用しても差し支えない時間設定です。

時間の有効利用というだけでも大きな魅力ですね。

乗った瞬間非日常

 

これは首都圏に住み、東京から乗車する方の場合特に感じられるかと思いますが、普段利用するような駅で通常首都圏近辺の行先しか表示されない電光掲示板に突如現れる『サンライズ出雲 出雲市/サンライズ瀬戸 高松』の文字、通勤電車がひしめき合うホームでひたすら異彩を放つ車両、乗り込んでから普段乗る列車とは全く違う車内と窓の外の日常と変わらぬ風景。

鉄道ファンに限らず旅行好きな方なら少なからずワクワクするのではないでしょうか。

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ほかの列車に紛れて突如現れるサンライズ出雲(ちなみにサンライズ瀬戸と交互に表示される)。撮影は横浜駅

個室寝台は快適

 

サンライズ出雲・瀬戸は寝台の大半が個室となっています。プライバシーが重視される時代になる中でこの列車が支持される理由の一つでもあります。

当然列車内ということもありスペースも限られますし、ベッドもものすごく立派なものというわけにはいきませんが、睡眠をとるには差し支えない空間が確保されています。

なお、個室寝台にはコンセントもついているためスマートフォンの充電も当然可能です。(ヘアアイロンや電気ポットなど電気をたくさん使う製品の利用はやめたほうがいいかも。。。汗)

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個室寝台の様子。狭いが睡眠はしっかりとれる。

 

移動中にシャワーを浴びてさっぱり

 

追加料金320円でシャワーカードを購入する必要があり、数量限定で6分という時間制限があるものの、シャワーを浴びることもできます。

筆者は男ですが、試してみたところシャンプー前に髪を濡らすのに30秒、シャンプーを流すのに1分、体を洗い流すのに1分だったのでそこまで本気出さなくても大丈夫そうです。ちなみに、水を止めている間はカウントは止まります。

列車内で揺れますし、上記の制限時間とも相まって緊張感のあるシャワータイムにはなりますが、さっぱりする上では差し支えない設備です。

なお、7両編成に1か所(別途A寝台のシングルデラックス専用のシャワーもあるが多くの乗客はこちらを利用する)のため脱衣所では速やかに着替えを済ませる(髭剃りや歯磨きはシャワー室ではなく洗面所でしましょう。)ことや終わった後に室内洗浄ボタンを押すなどいくつかお作法がありますが、列車内でシャワーを浴びること自体がなかなか貴重な経験だと思います。

列車内からの朝日は格別

 

やはり、夜行列車で目的地に向かっていることを実感する一番の瞬間はこれではないでしょうか。列車の名前の由来にもなっていますがずばりサンライズ=朝日ですね。

日の出の時刻ごろに目覚まし時計を設定しておくと、列車の中から素晴らしい朝日を眺めることができます。

また、比較的日の出の遅い時期だと瀬戸大橋の上から朝日を眺めることも可能です。

先ほど書いたことにも通じますが、日常の空間から非日常の列車に乗り込み、普段と違う場所で目を覚まし朝日を拝む。筆者はロマンを感じずにはいられません。

朝日を眺めるのに適しているのは、高松・出雲市方面を向いて左側の個室(東京方面を向いて右側)です。部屋番号をここでお伝えすると少し複雑なのみどりの窓口でそのように指定していただけると幸いです。。。汗

 

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 これはたしか岡山駅到着30分前ぐらいの区間でした。

 

このほかにも、いろいろと魅力はあります。特にグループの旅行ではまた違った楽しさや魅力があると思います。実際に乗られた方一人一人がそれぞれの魅力を発見し、この列車が末永く愛されることを何よりものぞみます。

乗るときの注意点 

いいことばかりを書いてきてしまいましたが、夜行列車という制約のある空間であるため利用するにはいくつか注意しなければならない点もあります。事前に知っておきたいことなど、いくつか見ていきたいと思います。

きっぷ取りづらい問題

 

人気列車の宿命ですが、特に金曜日出発の列車や繁忙期の列車はすぐに満席になってしまいなかなかきっぷが取れません。それこそ、混み合う時期であれば前月の朝10時に窓口に陣取って取れるか取れないかという世界です。

また、今のところインターネットの予約サービスにも対応しておらず、ノビノビ座席以外は指定席券売機で購入することもできません。

そのため、基本的にはみどりの窓口に出向く必要があります。

ただし、JR西日本のe5489サービスに登録していれば電話で列車の予約を取ることもできます。

いずれにしても、ただでさえ人気で予約が取りづらいうえ、飛行機や高速バスと比較して購入の利便性も低いと言わざるを得ないのはこの列車の弱点といえます。

車内販売がない問題

 

コカ・コーラやミネラルウォーターを販売する自販機はあるものの車内販売がないため、食料は事前に調達しておくことが原則となります。

お茶や朝食はいいとして、もし車内で酒盛りをされる場合、お酒やおかし、おつまみをどのくらい買い込むべきかはちょっと悩ましいですね。

なお、途中で運転見合わせや遅延となる可能性もゼロではないので予備の水分や非常食も確保しておきたいところです。

お風呂問題

 

先ほどシャワーを浴びられると書きましたが、シャワーカードが売り切れの場合もあり、0時前の時間帯は混雑もするので最悪浴びられなかった場合のことも考えておきたいところです。特に途中駅から乗る場合は浴びられない可能性が高いです。

また、シャワーを浴びられたとしてもタオルは備え付けられていないので用意していく必要があります。また、使ったタオルを干す場所を少し難儀します。

(以前はタオルを車掌さんから購入できたようですがなくなってしまったみたいです。)

東京駅や横浜駅岡山駅高松駅米子駅などは駅から少し歩いたところに銭湯はいくつかあるようなのでそこで入浴を済ませてから乗車するというのは一つの手でですがいずれも到着後の利用はできなさそうです。一方、出雲市駅には駅前温泉があり到着後、出発前いずれも利用が可能で一番便利ですね。なお、熱海駅の場合は日帰り温泉施設があるものの軒並み21時前にしまってしまうのであまり現実的ではありません。

ノビノビ座席は上級者向け問題

 

サンライズ出雲・瀬戸の中で最も安く利用できるノビノビ座席ですが、場所は指定されており隣ともカーテンで区切られ、最低限のプライバシーは確保されるものの、カーペットは固く寝心地は残念ながら快適とは言えません。

また、コンセントもついていないので、横になれればそれでOK、それ以上は求めません。という旅慣れた方以外にはおすすめしません。

 

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ノビノビ座席の様子

寝るのがもったいない問題

鉄道好きにとっては夜行列車あるあるだと思います。しっかり睡眠をとりたいけれどもせっかくの貴重な非日常の空間なので寝るのがもったいないというジレンマがあるんですよね。。。

たしかに夜中の静けさに包まれた沿線の風景は普段なかなか見ることができないですし、筆者自身もふと目を覚ましたら夜明け前の無人大阪駅を見たときはやたらと興奮しました。(寝ぼけていて写真を撮れなかったことが悔やまれます。。。汗)

いろんな過ごし方ありますが、意外とあっという間に目的地に着いてしまうので悔いのないように夜行列車の旅を楽しみたいところですね。

過大評価されている問題

喜ばしいことに、人気列車ということもありいろんな記事で取り上げられているのですが、『ビジネスホテル並みの設備』というフレーズが独り歩きして、少々過大評価されてしまっているふしがあるような気がしています。

たしかに、列車内にしてはかなり上等な設備だとは思いますが、あくまで列車内。トイレや洗面所は部屋とは別ですし、(シングルデラックスのみ部屋に洗面台あり)、上記のお風呂問題や車内販売がない問題といった少々不便な点もあります。

そのため、どうかビジネスホテルと同等な設備を期待して幻滅されないでいただきたいと思います。個人的にはいろんな方におすすめしたい列車ですが、特に女性の方は気にされるかもしれません。

いや、旅行好きの女性は大丈夫かもしれませんが、男性が恋人や友人の女性を誘ってこの列車で旅行される場合は少し気を使ったほうがいいかもしれませんね。

ちょっと飛ばしすぎ問題 

 

サンライズ出雲・瀬戸は最高時速120kmで駆け抜けていきます。(遅延しているときは130kmで走ることもあります。)

日中の列車よりも多少余裕はあるダイヤですがそれでも結構なスピードで走ることになります。そのため、乗り物に酔いやすい方にとっては揺れが気になるかもしれません。

また、このぐらいの速度になってくるとレールの継ぎ目の『ガタンゴトン』という音ペースが一般的な心拍数のペースを超えてくるので気になる方は寝付きづらいかもしれません。

対策は酔い止めや耳栓をすること、あるいは深酒をしないことですかね。

 

以上、注意点を見てきましたが、このあたりを押さえておけば、道中楽しめるのではないのでしょうか。

 

まとめ

 

さて、長い記事になってしまいましたがざっくりまとめると以下のようになるかと思います。

  • 便利な時間設定で料金もリーズナブル
  • 一晩を過ごすには十分な設備が整っている
  • 道中は非日常の貴重な経験になること間違いなし
  • ただし、お風呂と食料問題は事前に解決しておきたいところ
  • あくまで列車内なのでホテルよりは居住性は劣る
  • いい時期の列車のきっぷは結構頑張らないと取れない

ということで、多くの方がこれからも実際にサンライズ出雲・瀬戸に乗っていただき、魅力を発見して素敵な思い出を作っていただければ何よりです。最後まで読んでいただきありがとうございました。